エリア特集
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東海道横断特集
- 旅行プラン
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旅行プラン
直虎ゆかりのスポットをめぐる
- 今、全国から耳目を集めている町を挙げるなら浜松だろう。NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」が放映中とあって、井伊直虎をはじめとする井伊家の面々にゆかりのある場所が連日賑わっている。
- まず、浜松を代表する観光スポット、井伊家の菩提寺である龍潭寺(りょうたんじ)へ。2代目住職に就任した南渓瑞聞(なんけいずいもん)は直虎のよき指南役だったという。かつての許婚(いいなずけ)で井伊家の当主・直親が謀殺された後、女領主となってお家存続の危機を救ったとされる直虎だが、この時代に男性と対等に渡りあっていくことの難しさを考えると、南渓和尚の存在はさぞかし大きかったに違いない。
- 歩くと独特の音が響く本堂の廊下
- 静岡県指定文化財・龍潭寺本堂
©HIROYUKI YAMAGUCHI/SEBUN PHOTO/amanaimages
- 山門から奥へ歩いていくと、1676年(延宝4)に再建された本堂が目の前に現れる。なかに入り、キュッキュッとこきみよく鳴るうぐいす張りの廊下を進む。頭上から躍動感あふれる一刀彫りの龍が見下ろしている。名工、左甚五郎(ひだりじんごろう)作だ。
- 一番の見どころは、作庭家・小堀遠州によって江戸時代初期に造られた池泉(ちせん)鑑賞式庭園で、心字池を中心に石組みがなされ、サツキの刈込が配置されている。初夏には新緑と相まってピンクの花をつけたサツキが訪れる人を楽しませる。縁側に腰を下ろして、この庭園の妙を静かに眺めていると、何とも安らいだ気持ちになる。
寺の南側には井伊家発祥の井戸があり、北の方へ歩けば宗良(むねなが)親王を祀る井伊谷宮(いいのやぐう)にたどりつく。宗良親王は南北朝時代に井伊氏を従え南朝方として奮戦した人物だ。
木々の緑と静寂に包まれた井伊谷宮を参拝し、少し離れた井伊谷城跡へ向かう。井伊氏の本拠地があった標高約115メートルの城山山頂まで、5分ほどの急斜面を息を切らしながら登った。ようやくたどり着いた頂上からは町が一望のもと! こんもりした緑の一角は先ほど訪れた龍潭寺と井伊谷宮だろうか。今は穏やかに広がるこの風景のなかで、戦乱の時代を力強く生きた一人の女性に思いを巡らせた。
- 周囲に土塁をめぐらせた
井伊谷城跡からの眺め
- 後醍醐天皇の第四皇子、
宗良親王を祀る井伊谷宮
- 境内の夏ツバキが爽やかにほほえむ
- 龍潭寺本堂では、
今にも動き出しそうな龍も必見
- ■龍潭寺
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053-542-0480
浜松市北区引佐町井伊谷1989
時9時~16時30分(17時閉門)
料一般(高校生以上)500円、中学生・小学生200円
- ■井伊家発祥の井戸
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053-542-0480(龍潭寺)
浜松市北区引佐町井伊谷1989 ∗初代井伊共保公「出生の井戸」
- ■井伊谷宮
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053-542-0355
浜松市北区引佐町井伊谷1991-1
- ■井伊谷城跡(井伊谷城跡城山公園内)
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浜松市北区引佐町井伊谷城山
心休まる深むし茶ときんつば
- 浜松の東に位置する袋井は、静岡に20以上あるお茶の産地の一つ。いわずもがな、静岡県は日本一の茶どころで、茶園面積、収穫量ともに全国の4割を占める。今回訪ねた「にしたな」の茶畑は住宅と隣り合う場所。取材は5月下旬で、すでに一番茶の摘み取りは終わっていたが、二番茶の若芽がひょっこりと顔をのぞかせていた。
- にしたなでは自社で12ヘクタールを管理し、茶葉の栽培を手がけるほかに、約30軒の専業茶農家(100ヘクタール)と契約し、良質の茶葉を仕入れ、製茶を行っている。にしたなの茶師が渋味、旨味、甘味を引き出した製品は、過去2度にわたり、全国茶品評会で1位に輝くなど、数々の賞を獲得してきた。
- にしたな社長、鈴木治さんは
静岡茶のおいしさを
全国に広めている
- にしたな自慢の深むし煎茶
- 製茶工場からほど近い場所に、
にしたなの自社茶園が広がる
- 顔をのぞかせた二番茶の芽。
摘み取りは6月初旬から
下旬にかけて
- 製茶では何段階もの作業があるが、とくに重要なのは「蒸し」の工程だと、社長の鈴木治さん。蒸す時間によって味と香り、茶を淹れたときの色が決まってくるという。深むし煎茶は茶葉を長く蒸して揉んだお茶で、渋味が少なく、まろやかなコクと甘味を満喫できる。深むし煎茶シリーズの人気商品「碧(あおい)」をいただくと、一番茶のなかでもとくに早い時期の芽を摘んでいることもあり、上品な甘味と若々しくさわやかな香りが楽しめた。
この極上の一杯にぴったりのお茶請けがあると聞いて、袋井の西隣に位置する磐田にやってきた。菓舗「又一庵(またいちあん)」だ。全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞した小豆のほか、青えんどう豆を使った鶯(うぐいす)、栗入りのきんつばも展開し、甘党たちに人気を博している。
お店の奥にある工房を見せてもらった。職人が北海道十勝産の小豆を大鍋で煮詰めているところで、工房はおいしそうな甘い匂いで満たされていた。その小豆を型に流し込み、正方形に切り分け、薄皮をつけて6面を手早く焼いていく。こちらも職人の手作業だ。
でき上がったばかりのきんつばを試食させてもらうと、ぬくぬくで甘さ控えめ、それでいて小豆の風味が口に広がる。豆の食感がちゃんと残っているのがうれしい。一口食べてお茶をすすり、また一口食べて・・・・・・ああ、まさに口福!
家路につく新幹線の車中から、みやげの静岡茶ときんつばでまた一服するのが待ち遠しくなっていた。
- 又一庵の工房では、朝から小豆を
煮るいい匂いが広がる
- 又一庵のきんつばの中でも不動の人気を誇る、
小豆、鶯、栗(手前から時計回りに)
- 丁寧に6面を焼いてきんつばを仕上げる
- ■にしたな
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0538-36-2407
静岡県袋井市友永80-1
時平日8時~17時(受付)
- ■又一庵総本店
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0120-02-2371、0538-33-1600
静岡県磐田市見付1767-4
時9時~19時
休無休
2017年8月25日更新