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- 04.未来は、歴史の先にある
04
- モノづくりの未来は、日本の産業を支えてきた歴史の先にある「トヨタ産業技術記念館」館長 飯島修氏
「研究と創造の精神」や「モノづくり」の大切さを伝える。
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名古屋駅から北西へ約1.5㎞。当館は、トヨタグループにとってとても大きな意味がある場所に立っています。グループの創始者である豊田佐吉が、自動織機開発のために1911年に試験工場を建設し、従業員と寝食をともにして発明や実験に没頭したのがまさにこの場所。後に豊田自動織機製作所、トヨタ自動車工業の創立総会もここで行われました。
いわば、グループ発祥の地で佐吉以来受け継いできた研究と創造の精神と、モノづくりの大切さを伝えていくのが当館のミッション。「繊維機械館」では、日本の産業近代化の先駆けにもなった「G型自動織機」をはじめ、糸を紡ぎ、織るための技術の変遷を紹介しています。また、「自動車館」では自動車の構成部品、開発技術や生産技術の移り変わりを、代表的な車種や、あたかも工場が移ってきたかのような本物の大型機械などによって伝えています。 -
- エントランスの環状織機
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- エンジンの研究が始められた象徴的なシーン
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- 100年以上前の工場の赤れんがの壁が残る中庭
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- 煙突基礎の遺構 石炭を燃やして蒸気をつくり、
その蒸気の力で自家発電していた当時の工場の様子がうかがえる
本物が動く「動態展示」でモノづくりの過程を紹介。
- 「トヨタ産業技術記念館」
館長 飯島修氏
私は先輩たちから「モノづくりは付加価値をつくること」と言われてきました。より良いモノをつくるために新しい技術が生まれ、使いやすさや快適さなど、新たな価値につながることをその言葉は教えてくれました。こうした、世の中の進化に欠かすことができないモノづくりの意義や、多くの部品、機械、さらには人が関わってひとつのモノが生まれる過程を紹介することは、モノづくりの大切さを伝えることに繋がっていきます。
そのため、当館では本物の機械が、実際に動く状態を見ることができる動態展示にこだわり、スタッフが動かしながら説明を加えるなど、つくり方の原理や技術をより深く理解していただける工夫をしています。「ひとつの布が出来上がるまでの工程に、気が遠くなるほど膨大な手間がかかっていることを知り、モノは大切にしないといけないと思えた」。お客様から寄せられたこの言葉は、このような展示だからこそ感じていただけた思い。それは当館が提供できた付加価値とも言えます。
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- 水の力で動かすガラ紡機
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- 1924年完成のG型自動織機
先人たちの言葉からも感じとることができる、情熱やチャレンジ精神。
佐吉が自動織機の開発に成功した背景には、「何か世のためになることを」という信念がありました。また、佐吉の長男である豊田喜一郎が自動車の開発に懸命に取り組んだのは、欧米で自動車の普及を目の当たりにし、こうした国々と同じように日本を豊かにしたいという情熱があったからです。二人に共通していたのは、チャレンジして失敗しても、その失敗から学んで次のチャレンジに繋げていくこと。これは時を経て、トヨタグループのDNAとして受け継がれています。
技術開発の根底に流れるこのような先人たちの考え方を知っていただき、モノづくりを支える研究と創造の精神を理解していただくのも当館の役割です。
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- 先人たちが語る喜一郎像
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- 初めて世に出した車の故障修理活動のチャレンジと失敗から、
お客様第一、品質第一に繋げる象徴的なシーン
モノづくりの未来のために。
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技術革新は産業や社会の発展を後押しし、未来の暮らしをより良くすることに繋がっていきます。また、新たな技術開発を推し進めるには、未来をしっかりと見据えて取り組むことができる人材の育成が必要です。モノをつくるのは人であり、モノをつくる過程で人は育つ。モノづくりは人づくり、と言われる所以です。当館では、未来を担う子どもたちを対象に、様々なモノづくりのワークショップを開催。子どもたちは自分の手で本物のエンジンの分解・組み付け・始動を行ってその仕組みを学んだり、ラジオの組み立てを行い、完成する喜びを味わったりしています。
いまでは難しくなった、モノづくりとの出会いの場を提供することが、未来のモノづくりや技術開発への入口になっていくと信じています。 -
- 車の仕組みが見えるように展示
愛知県の魅力を実感できる産業観光。
- 愛知県は、製造品出荷額等が38年連続して全国1位になるなど、「モノづくり県」として知られるエリア。その魅力を知るために、産業の足跡を巡る産業観光はとても有意義な体験です。トヨタグループで言えば、当館のほか豊田市にある「トヨタ会館」では自動車のいまを、さらに「トヨタ鞍ヶ池記念館」では、自動車事業創業期の先人たちがチャレンジする様子を知ることができます。また、長久手市の「トヨタ博物館」には、歴史をつくってきた世界の名車約160台が勢揃い。こうした施設を通して、過去から今日、さらには未来へ続く産業の歩みをたどることができます。
- ※製造品出荷額等データは平成26年工業統計調査結果(確報)(平成26年12月31日現在)
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- 自動車館 自動車事業創業当時から現代に至る開発技術や生産技術の移り変わりを紹介

「トヨタ産業技術記念館」館長 飯島修氏
1980年4月、トヨタ自動車に入社。広報畑を長く歩いた後、2012年1月に館長に就任。2014年、開館20周年の年に行ったリニューアルにより、自動車事業を始めた頃の展示を充実させた。その展示にもある喜一郎が書き残した言葉で、父である佐吉とのやりとりを語るくだりに共感を覚えると言う。
インタビュー対象者の肩書は取材当時のものです。
2017年8月25日更新